自ら発毛の毛髪診断士:阿部です。

女性の薄毛というと、ホルモンバランス・遺伝・ストレスが原因だと思われがちです。

もちろんそれらも要因の一つですが、実は多くの方が見落としている、もっと根本的な原因があります。

それが、髪のエネルギー不足です。

ダイエット成功の裏で起きていた前髪薄毛

サロンで実際にあった30代女性のケースをご紹介します。

まずは発毛症例をご覧ください。

この方はトレーナー指導のもと、糖質制限を中心としたダイエットで体重を15kg以上落とすことに成功しました。しかしその一方で、前髪が明らかに薄くなってしまったのです。

ミノキシジルやサプリメントは使用せず、見直したのは、たんぱく質、脂質、炭水化物の三大栄養素の「食事バランス」です。

結果、3ヶ月で前髪の状態はかなり改善して喜んでいただくことができました♪

これは女性の薄毛では決して珍しいケースではなく、サロンではよく見られる「エネルギー不足型の薄毛」です。

論文が示す「炭水化物と髪の深い関係」

2024年に発表された、遺伝以外の「環境的要因」に関する研究では、栄養バランスの乱れが髪の老化を早めることが示されています。

特に重要なのが炭水化物です。炭水化物は、毛包(毛を作る器官)にとって主要なエネルギー源となります。

論文によると、”糖質は毛根の外毛根鞘にグリコーゲンとして蓄えられ、常に毛包にエネルギーを供給している”と示されています。

発毛のスイッチは「糖質代謝」で入る

さらに2022年の研究では、毛髪の成長を司る毛乳頭細胞が、グルコース(糖質)を代謝することで発毛のスイッチが入ることが明らかになりました。

糖質が少なすぎると、発毛に関わる遺伝子の働きが低下してしまうのです。

なぜ糖質制限をすると髪は後回しにされるのか?

極端な糖質制限やカロリー制限を行うと、身体はまず「生きるために必要な場所」にエネルギーを優先的に回します。

髪や生殖機能は、どうしても後回しにされやすい。

その結果、「前髪が伸びない」「抜け毛が増える」といった変化が起こりやすくなります。

薄毛改善のために行った現実的な対策

対策はとてもシンプルです。

炭水化物を少しずつ適量に戻すこと、そして血糖値が乱れにくい食べ方を意識すること。

ただし、急に糖質を増やすのは血糖値の乱れにつながり危険です。1週間単位で、少しずつ調整していきます。

目安としては、ご飯なら1日100g弱、果物ならバナナ1本やりんご1個、さつまいもなら小さめサイズを1本程度です。

脂質が多い人は「入れ替え」が必要

揚げ物やウインナーなど、脂質が多い食事が中心の方は、脂質を減らして炭水化物と入れ替えることも重要です。

炭水化物が総カロリーの50〜60%になると、無理にサプリメントを使わなくても、ビタミンやミネラルなどの栄養バランスは整いやすくなります。

「これを食べたら生える」という魔法はありません

よく「お米を食べたらどれくらいで髪が生えますか?」と聞かれますが、これは一概に答えられません。

その人が、どれくらい炭水化物が不足しているのか?そもそもカロリーが足りているのか?ここを見ないと判断できないからです。

発毛・育毛は足し算です

薄毛の原因を見極め、必要な対策を一つずつ積み重ねていく。地味ですが、これが一番確実な方法です。

まとめ

前髪薄毛は「エネルギー不足」を疑ってみてください

  • 女性の薄毛には「エネルギー不足」が関係することがある
  • 炭水化物は髪の成長に欠かせないエネルギー源
  • 過度な糖質制限は薄毛リスクを高める可能性がある
  • 炭水化物は慎重に、少しずつ増やすことが大切

前髪の薄さや抜け毛を「年齢のせい」と決めつける前に、ぜひ炭水化物不足によるエネルギー不足を疑ってみてください。

栄養を整えることで、髪はきちんと応えてくれます。

一緒に、正しい方向で薄毛改善を進めていきましょう。

 【参考文献】
The exposome impact on hair health: etiology, pathogenesis and clinical features

Kishimoto K, et al. (2020) Hair follicle dermal papilla cells metabolize glucose to activate hair growth.