自ら発毛の毛髪診断士:阿部です。
「同じ50代なのに、あの人は髪がふんわりしているのに、私は分け目が目立ってきた」
更年期以降、このような違和感を抱く女性は少なくありません。
実際、更年期や閉経を迎えると女性ホルモンは大きく減少します。しかし、すべての女性が薄毛になるわけではないのです。
ではなぜ、同じ年齢・同じようなホルモン変化が起きているにもかかわらず、「薄毛になる女性」と「ならない女性」に分かれてしまうのでしょうか。
この記事では、最新の医学的知見をもとに、更年期以降に薄毛になる女性・ならない女性の3つの決定的な違いと、今日からできる具体的な対策を分かりやすく解説します。
更年期以降、なぜ同じ年齢でも薄毛に差が出るのか?
更年期・閉経後の女性ホルモン低下は全員に起こる
更年期に入ると、エストロゲンと呼ばれる女性ホルモンはすべての女性で大きく低下します。この変化自体は、個人差があるものの、誰にでも起こる自然な現象です。
そのため、「更年期になったから薄毛になる」という説明だけでは、実は十分とは言えません。なぜなら、ホルモンが減っても薄毛にならない女性が多数存在するからです。
薄毛になる女性は少数派という事実
調査データを見ると、60代女性のうち、薄毛に悩んでいる方はおよそ3〜4割にとどまります。つまり、6〜7割の女性は深刻な薄毛にはなっていないのです。
この事実から分かるのは、「更年期=薄毛」ではなく、何か別の要因が重なったときに薄毛が進行するということです。
違い① 遺伝|更年期の薄毛は「ホルモン量」より「反応のしやすさ」
男性ホルモンの量ではなく感受性が問題
更年期の薄毛を語るうえで、よく「男性ホルモンが増えるから」と説明されることがあります。しかし、近年の研究では、問題はホルモンの量そのものではなく、毛根が男性ホルモンにどれだけ反応しやすいかであることが分かってきました。
これは、同じ紫外線を浴びても、すぐに日焼けする人と、ほとんど焼けない人がいるのと似ています。薄毛も同様に、量よりも「体質」が大きく関係しているのです。
X染色体と親の薄毛との関係
この反応のしやすさは、X染色体上の遺伝子と関係しています。女性は母親と父親からそれぞれX染色体を1本ずつ受け継ぐため、どちらの親が薄毛であっても影響を受ける可能性があります。
ただし、ここで重要なのは、遺伝がある=必ず薄毛になる、というわけではないという点です。遺伝はあくまで「薄毛のスイッチ」を持っているかどうかに過ぎません。
遺伝があっても薄毛にならない女性が多い理由
実際、遺伝的なリスクがあっても、一生薄毛に悩まない女性は数多く存在します。その違いを生むのが、次に説明する体内環境と生活習慣です。
違い② 体内環境|更年期に男性ホルモンが強く働く女性の特徴
血糖値の乱高下が男性ホルモンを活性化させる
更年期以降に薄毛が進行しやすい女性に共通して見られるのが、血糖値の急激な変動です。空腹時に甘いものを食べたり、精製された炭水化物中心の食事を続けていると、血糖値は乱高下を繰り返します。
この状態が続くと、男性ホルモンの働きが強まりやすくなり、同時に糖化(AGEs)と呼ばれる老化反応が進行します。その結果、毛根周囲の毛細血管がダメージを受け、髪に必要な栄養が届きにくくなってしまうのです。
炭水化物不足が薄毛を招く理由
一方で、「太りたくないから」と主食を極端に減らしている女性も注意が必要です。炭水化物は、毛根に蓄えられるエネルギー源(グリコーゲン)として重要な役割を担っています。
炭水化物が不足すると、「前髪が伸びない」「髪が細くなる」といった変化が起こりやすくなります。更年期以降の薄毛対策では、適切な炭水化物摂取が欠かせません。
肝機能低下で男性ホルモンが処理されない
さらに重要なのが肝機能です。肝臓は、役目を終えた男性ホルモンを分解し、体外へ排出する臓器です。
しかし、飲酒、薬やサプリの常用、脂肪肝などによって肝機能が低下すると、男性ホルモンが体内に長く残り、更年期の薄毛を進行させやすくなります。
違い③ エクスポソーム|更年期の薄毛は生活習慣で決まる
エクスポソームとは何か?
エクスポソームとは、生まれてから現在までに受けてきたすべての環境要因の総和を指す言葉です。
双子の研究では、同じ遺伝子を持っていても、生活環境の違いによって老化の進み方に大きな差が出ることが分かっています。薄毛も同様に、遺伝だけでは説明できない部分を、このエクスポソームが補っています。
内部エクスポソーム|体の内側の問題
エクスポソームの中でも、まず注目すべきなのが「体の内側の環境」です。更年期以降の薄毛は、外からの刺激だけでなく、体内の状態が毛根の老化スピードを大きく左右します。
とくに次の4つは、医学的にも薄毛との関連が強い要因です。
カロリー・栄養・炭水化物不足
更年期以降の女性に非常に多いのが、「食事量は減っているのに、薄毛は進んでいる」というケースです。これは単なる加齢の問題ではなく、慢性的なエネルギー不足が関係しています。
毛根は、体の中でも特にエネルギー消費が激しい組織です。十分なカロリーや栄養が確保されない状態が続くと、体は「生命維持を優先し、髪の成長を後回し」にします。
とくに重要なのが炭水化物です。炭水化物は体内でグリコーゲンとして蓄えられ、髪を作るためのエネルギー源として毛根でも利用されます。
そのため、「タンパク質やサプリは摂っているのに、前髪が伸びない」「抜け毛が減らない」という場合、炭水化物不足が隠れていることは少なくありません。
慢性的ストレスと睡眠不足
次に無視できないのが、慢性的なストレスと睡眠不足です。
更年期はホルモンバランスの変化により、自律神経が乱れやすい時期でもあります。ストレスが続くと、体は常に「緊張モード」に入り、血流は内臓や筋肉を優先し、頭皮や毛根への血流は後回しになります。
この状態が続くと、毛根は栄養不足と酸欠状態に陥りやすくなります。さらに、睡眠不足が重なると、髪の成長に必要な修復・再生の時間が十分に確保できなくなります。
更年期以降に「夜中に目が覚める」「眠りが浅い」という方は、それ自体が薄毛リスクになっている可能性があります。
コルチゾールと髪の成長サイクル
ストレスと薄毛の関係を語るうえで欠かせないのが、コルチゾールというホルモンです。コルチゾールは、本来は体を守るために必要なホルモンですが、慢性的なストレス状態では分泌が過剰になります。
このコルチゾールが増えすぎると、髪の成長期が短縮され、本来まだ成長するはずの髪が、早く休止期へ移行しやすくなります。
つまり、ストレスが続くほど「生えてもすぐ抜ける」「全体的にボリュームが出ない」という状態が起こりやすくなるのです。
喫煙と毛細血管収縮
喫煙も、内部エクスポソームとして非常に重要な要因です。
タバコに含まれるニコチンは、毛細血管を強く収縮させます。毛根は毛細血管から酸素と栄養を受け取っているため、血管が収縮すると、髪に必要な物質が十分に届かなくなります。
また、喫煙によって体内の活性酸素が増えると、毛根周囲の細胞は酸化ストレスを受け、老化が加速します。「本数が少なくても大丈夫」という安全ラインはなく、少量の喫煙でも薄毛リスクは確実に高まると考えられています。
外部エクスポソーム|体の外側のダメージ
次に、体の外側から毛根に影響を与える要因について見ていきましょう。
更年期以降は、女性ホルモンによる保護作用が弱まるため、外部からの刺激が直接ダメージとして蓄積しやすくなります。
紫外線と頭皮老化
頭皮は、体の中で最も紫外線を浴びやすい部位です。
紫外線は頭皮の水分を奪い、炎症や乾燥を引き起こします。その結果、毛根周囲の環境が悪化し、髪を太く・強く育てる力が低下します。
とくに分け目やつむじは紫外線の影響を受けやすく、更年期以降の薄毛が目立ちやすいポイントでもあります。
大気汚染(PM2.5)と炎症
近年注目されているのが、大気汚染による頭皮への影響です。
PM2.5などの微細粒子は、毛穴に入り込み、慢性的な炎症を引き起こすことが分かっています。
とくに冬場は、大気汚染物質が地表に滞留しやすく、知らないうちに頭皮ダメージが蓄積します。都市部に住む女性ほど、外部エクスポソームの影響を受けやすい傾向があります。
ポニーテールなど牽引性脱毛
髪型も、外部エクスポソームの一つです。ポニーテールやきついアップスタイルなど、髪を長時間引っ張る髪型は、毛根に継続的な負荷をかけます。
この状態が続くと、牽引性脱毛と呼ばれる脱毛症を引き起こすことがあります。とくに前髪や生え際は影響を受けやすく、更年期以降に「生え際が後退した」と感じる原因になることもあります。
白髪染め・ヘアカラーの酸化ダメージ
最後に、白髪染めやヘアカラーによる化学的ダメージです。
市販の白髪染めに含まれる過酸化水素やアルカリ剤は、毛根に酸化ストレスを与えます。
閉経後はエストロゲンの保護作用が低下しているため、若い頃と同じ頻度・同じ方法の白髪染めでも、ダメージが蓄積しやすくなります。
その結果、「白髪染めを続けるほど、髪が細くなる」「ハリ・コシがなくなる」といった薄毛の症状が現れやすくなります。
更年期の薄毛対策|今日からできる改善ポイント
更年期の薄毛対策で重要なのは、血糖値を安定させる食事、肝機能をいたわる生活、質の良い睡眠とストレスケア、そして頭皮を守る生活習慣です。
紫外線対策や髪型の見直しなど、一つひとつは小さなことでも、積み重ねることで大きな差が生まれます。
白髪染めが気になる女性へ|更年期には天然ヘナという選択
化学的な白髪染めは、毛根に酸化ストレスを与え、薄毛リスクを高める可能性があります。
一方、天然ヘナは頭皮を保護しながら、髪にハリとコシを与えてくれる選択肢です。
無色ヘナやブレンドヘナを使い分けることで、更年期以降の頭皮ケアにも役立ちます。
まとめ|更年期でも薄毛は改善できる
更年期以降に薄毛になるかどうかは、遺伝・体内環境・エクスポソーム(生活習慣)この3つで決まります。
遺伝は変えられませんが、生活習慣は今日から変えられますよね。
今日の食事、今日の睡眠、今日のストレスケア。その積み重ねが、半年後、1年後の髪を確実に変えていきます。
薬に頼らない女性の薄毛対策を発信中
このブログでは、薬に依存しない女性の薄毛対策を継続的に発信しています。
YouTubeでも同じテーマで詳しく解説していますので、ぜひ合わせて参考にして頂き本質的な薄毛ケアに役立てていただければと思います。
<引用文献>
https://www.researchgate.net/figure/Twins-natural-age-61-with-significant-difference-in-sun-exposure-Twin-B-B-had_fig7_266624746
2https://pmc.ncbi.nlm.nih.gov/articles/PMC11745291



