薄毛改善や予防したい女性は要注意が必要かもしれません。

今回は女性に人気のあの健康法が髪の毛の成長を遅らせる可能性がある!という最新の研究についてご紹介します。

2024年12月13日にCellという科学学術雑誌に気になる研究結果が報告されました。それは、「ファスティング」つまり断食が、人の毛髪の成長を遅らせる可能性がある。という内容です。

今回はファスティングが髪に悪影響を与えるメカニズムを解説しながら、ファスティングをしない女性であっても普段から注意すべき食事のポイントについて解説します。

ファスティングに関する最新の研究

ファスティング、した事ありませんか?また、興味を持った事は無いでしょうか?確かに、長時間食事を摂らなかったり、摂る時間を設けたりする間欠的ファスティングは、比較的簡単で、短期的なダイエット効果や、長寿遺伝子と呼ばれるサーチュイン遺伝子の活性化や、オートファジーによるデトックス効果といったメリットがあるため、世界中で人気の健康法です。

また、SIBO(小腸内細菌異常繁殖症)など腸内環境が悪い人にとっては腸内細菌を減らしてバランスを整える効果も期待できるため、腸活の一環としてファスティングをする女性は多いですよね。

しかし、今回紹介する最新の研究では間欠的ファスティングはマウスのモデル、人のモデルにおいて、髪の毛の成長を遅らせるという歓迎できない効果がある事が報告されました。

どんな実験かというと、マウスの体毛を剃って、1日16時間の断食をするグループと、1日置きの断食のグループ、普通に餌を与えた3つのグループの体毛の再生具合を比べました。

その結果、グループAの普通にエサを与えたマウスは30日以内で体毛が元通りに再生したの、断食を行った2つのグループのマウスは90日以上経ってもしても、体毛が部分的ににしか生えなかったんです。

研究者はファスティングが体毛の再生に与えるポジティブな効果を測定する目的で実験行ったはずなんですが、なんと、結果は真逆でした!より強度の高い断食をしたマウスの方が体毛が再生しなかったんです。毛が生えるどころか毛根の細胞が死滅するアポトーシスが起こりました。

ここで重要な毛根の細胞が毛包幹細胞(HFSCs)です。この毛包幹細胞は、ヘアサイクルと言って成長期と休止期を繰り返しながら新しい毛を発毛させます。

断食をしなかったマウスは正常に毛包幹細胞が約20日後に活性化して、完全に体毛が再生しましたが、ファスティングを行ったマウスでは、幹細胞が活性化するどころか、細胞が自ら死滅するアポトーシスを起こしてしまいました。

次に49人の成人を対象にした臨床試験を行いましたが、人間においても1日18時間の断食を行った人は、普通に食事を摂る人に比べて髪の成長が遅くなった。という結果でした。

忙し過ぎて1日1食です〜という女性は毎日この断食をしているようなものですよね。論文ではマウスに比べて細胞の壊死はわずかとの事ですが、髪が伸びにくくなるのは問題ですし、注意が必要ですよね。

ファスティングが薄毛の原因になる2つの理由

次にファスティングで毛髪の成長が遅くなる2つの原因と対策を解説します。

酸化による毛根のダメージ

今回の研究では原因をさらに調査したところ、断食中に増加したROSと呼ばれる活性酸素種が毛包幹細胞にストレスを与えていたことが分かりました。断食による活性酸素が幹細胞の死滅引き起こして、毛髪の再生を妨げてしまったんです。

毛包幹細胞を生み出す部分をバルジ領域と言いますが、このバルジ領域は酸化ダメージに滅法弱いんですね。

では、なぜファスティングで活性酸素が増えたのか?ですが、ここが大切です。

食事を摂らないために細胞のエネルギー源となる、ぶどう糖のグルコースが不足します。そうすると、代わりに身体の脂肪を遊離脂肪酸に分解して、それをエネルギー源にします。これを糖新生と言います。

実はこの遊離脂肪酸が毛包幹細胞に付着してダメージを与えてしまう事が分かっています。また、遊離脂肪酸をエネルギー源にすると、活性酸素が生み出されやすくなり、それが過酸化脂質となりさらに毛根にダメージを与えてしまいます。

この酸化ダメージについては何もファスティングだけが原因ではありません。普段の食事でも主食の米を抜いたり、炭水化物が少なく、タンパク質や脂質の割合が多い食事をしているだけでも、糖新生は起こって毛根にダメージを与える遊離脂肪酸は増加します。

髪を生やすエネルギー不足

論文で示唆されているもう一つの原因は髪を生やすエネルギー不足です。

毛包幹細胞は活性化して新しい毛髪を発毛させる時に大量のエネルギーを大量を消費するんですが、断食中はグルコースが不足するされるために、髪が伸びにくくなってしまうんです。

つまり、女性の髪を健康に元気に伸ばすには、しっかり食事を摂ってエネルギー不足を解消する事と、脂質過剰にならないようにタンパク質、脂質、炭水化物のPFCバランスが良い食事を摂ることが大切になります。

これが毛根の酸化ダメージを防いで、髪を生やすエネルギーを満ち満ちにする身体の中からの根本対策になるんです。

根本対策となる理想的な食事例(写真)

一番のおすすめはやはり栄養のバランスが良い和定食です!ご飯の他に芋やかぼちゃなどの炭水化物をもう一品、主食は魚か肉のタンパク質、副菜は日替わりサラダ、味噌汁に果物、ヨーグルトなどの乳製品からカルシウムを摂ることも大切です。

この様な食事内容ではじめてほぼ全てのビタミン、ミネラル、食物繊維が不足することなく摂取できるんです。

しかし、長い間1日1食の方は頑張って急に変えると体調を崩してしまう可能性があります。

食事を増やす際は、急に増やさずに1日200kcalずつ、1週間単位で体調を見ながら徐々に食場を増やして行きましょう。

毎日薄毛の悩みに囚われて浮かない表情をしていては幸せがどんどん逃げて行ってしまいます(T_T)落ち込んでいても仕方がないし、焦ってはいけません。それよりも一歩ずつ根本対策をして、行動するプロセスを楽しむことが大切だと思います。

私も「自ら発毛」として、まだ不完全な前髪をさらけ出してでも、YouTubeやブログ更新を頑張ってます!一緒に、前向きに、楽しく発毛育毛頑張っていきませんか?☆

阿部の公式YouTubeチャンネル「自ら発毛の毛髪診断士:阿部」では、毎週金曜日19時に「薬を飲まない女性の薄毛改善」をテーマに動画を更新していますので、こちらもぜひ参考になさってください♪

【参考文献】
https://www.cell.com/cell/abstract/S0092-8674(24)01311-4?_returnURL=https%3A%2F%2Flinkinghub.elsevier.com%2Fretrieve%2Fpii%2FS0092867424013114%3Fshowall%3Dtrue
https://nypost.com/2024/12/13/health/popular-diet-may-lead-to-loss-in-hair-volume-new-study/

 

センター長の症例ブログ・カテゴリー